子供たちを包み込む優しいデザイン:「Playful Child Care」

田中良明氏による地域に根ざした小児科クリニックの再設計

田中良明氏によるこの小児科クリニックの再設計は、地域とのつながりを大切にし、木の温もりと絵本に囲まれた空間を創り出しました。子供たちが安心して過ごせるように、また、その活動が街に温かく伝わるように配慮されています。

この目を引く屋根の建物は小児科クリニックです。患者たちは木の温もりと曲線的なデザインに癒されます。壁一面の絵本の本棚は子供たちの不安を和らげます。感染症の予防のため、待合室は3箇所に分散されていますが、曲線的な表面と吹き抜けが空間のつながり感を生み出しています。また、夜になると、屋根の隙間から溢れる光が無機質な街並みに安らぎを与えます。

この建物の設計にあたっては、感染症対策が重要な考慮点でした。看護師によって症状に応じた待合室に患者が誘導されます(感染症と非感染症)。診察室を囲む外向きの待合室は、2つの優しく区切られた待合エリアを作り出します。壁で分けられていないことも、患者の急変に看護師が迅速に対応できる利点となっています。

日本のクリニックでは、通常、患者が待合室に混雑し、院内感染のリスクが高いです。私たちは、症状に応じた患者の流れを分けつつ、全体としての空間的な広がりを持つ建物を設計しました。また、従来のクリニックによく見られる無機質な空間を避け、木の温もりを持つ建物を設計しました。現在、この建物はCOVID-19のワクチン接種場所としても使用され、地元の住民の健康を支えています。

屋根の形状は、構造設計者との深い議論を経て実現しました。建物の前の通りから見たときに最も美しく見える形状を見つけるために、試行錯誤の過程を経ました。急に折れ曲がった屋根は挑戦でしたが、その結果、内部空間は広々と感じられ、空間の印象を定義します。また、先端を美しく見せるために、通常のものを使用するのではなく、雨樋は特別に作られました。

田中良明氏が設計したこの特徴的な屋根は、3つの設計戦略により3層になっています。まず、患者を優しく包み込むこと。次に、空間を感染症と非感染症に分け、全体感を感じる空間を設計すること。最後に、屋根の隙間の窓からの光が縁側の天井を照らし、内部の活動を垣間見せることです。木の温もりと絵本に囲まれた吹き抜けの待合室は、感染症対策をしながらも患者や子供たちが元気に過ごせる場所です。

このデザインは、2022年のA'建築・建物・構造デザイン賞でアイアン賞を受賞しました。アイアンA'デザイン賞は、プロフェッショナルで産業要件を満たすように設計され、実用的で革新的な創造物に授与されます。業界のベストプラクティスと適切な技術特性を統合し、達成感とポジティブな感情を提供し、より良い世界に貢献することを評価されています。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Yoshiaki Tanaka
画像クレジット: Image #1: Photographer ToLoLo studio Image #2: Photographer ToLoLo studio Image #3: Photographer ToLoLo studio Image #4: Photographer ToLoLo studio Image #5: Photographer ToLoLo studio
プロジェクトチームのメンバー: Yoshiaki Tanaka
プロジェクト名: Playful Child Care
プロジェクトのクライアント: Yoshiaki Tanaka


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