「Meta Mecha」は、義肢の内側にあたる部分、いわゆる「義肢ソケットライナー」に焦点を当てたプロジェクトである。これまでの義肢ソケットライナーは一般的には、義肢と体との間に適度なクッションを提供するためのものであった。しかし、「Meta Mecha」では、このライナーにメタマテリアルを使用することで、個々の利用者の医療的な要件に合わせて機械的な表面をカスタマイズすることを可能にした。
メタマテリアルとは、自然界には存在しない特性を持つ素材のことを指す。これを3Dプリント技術と組み合わせることで、「Meta Mecha」は義肢の内側の機械的な表面を、利用者一人ひとりの医療的な要件に合わせてカスタマイズすることを可能にした。さらに、圧力感知色変化素材を使用することで、不適合を視覚化し、注意を引くことができる。
このプロジェクトの一部として、利用者の残存肢の3Dスキャンと歩行時の圧力分布データを収集し、それに基づいてメタマテリアル義肢ライナーの3Dモデルを生成する。そして、3Dプリントされた義肢ライナーは義肢の他の部分と組み立てられ、利用者に届けられる。義肢ライナーは利用者に最適な圧力レベルを調整し、色の変化によって圧力が許容限度を超えたときに利用者に警告する。
このプロジェクトは2021年10月に上海で始まり、初のプロトタイプは同年12月にD&I上海で展示された。その後、上海のDyson Ideation Labで教育展示が行われた。このプロジェクトは、メタマテリアル、計算デザイン、3Dプリント技術を組み合わせた義肢の新たな解決策を提供するものである。
「Meta Mecha」は、2023年にA' Cybernetics, Prosthesis and Implant Design AwardでIron賞を受賞した。この賞は、業界のベストプラクティスと優れた技術特性を統合し、達成感とポジティブな感情を提供し、より良い世界に貢献するような、よくデザインされた、実用的で、革新的な創造物に授与される。
プロジェクトデザイナー: Meta Mecha Team
画像クレジット: Images: Xuerong Cai, Ruikun Pan, Yanyun Wu, Longyu Gong
プロジェクトチームのメンバー: Longyu Gong
Ruikun Pan
Xuerong Cai
Yanyun Wu
プロジェクト名: Meta Mecha
プロジェクトのクライアント: Meta Mecha