サイボーグ社会の新たな可能性を切り開く「Jizai Arms」

人間と機械の融合を具現化する革新的なロボットアームシステム

「Jizai Arms」は、複数のユーザー間でアームを交換するなどの社会的なインタラクションを可能にする超数的ロボットリンブシステムです。このシステムは、デジタルサイボーグ間の可能なインタラクションを探求するために設計されました。

「Jizai Arms」は、ノーベル文学賞受賞者である川端康成の「片腕」に描かれた奇妙なシーンからインスピレーションを得ています。物語では、少女が自分の腕を男に与え、男がそれと一晩を過ごすというシーンが描かれています。川端は、男がその夜に経験する広範な感情の変化を鮮やかに描き出しています。半世紀後の現在、新たな人間と機械の統合技術が、我々に川端の世界を物理的に体験することを可能にしています。

「Jizai Arms」は、ウェアラブルなベースユニットと取り外し可能なロボットアームから構成される超数的ロボットリンブシステムです。このシステムは、複数のユーザー間でアームを交換するなどの社会的なインタラクションを可能にするために設計されました。また、デジタルサイボーグ社会におけるデジタルサイボーグ間の可能なインタラクションを探求することも目指しています。

このシステムは、アームを取り付けるための6つの端子と通信用のボードを備えたウェアラブルなベースユニット、そして5つの自由度を持つロボットアームから構成されています。外装部品は、必要な部分だけを覆い、軽量化を図るために有機的で複雑な形状に設計されており、3Dプリンティングによりこれらの複雑な形状が可能になりました。

「Jizai Arms」の開発は、2021年11月にJST INAMI JIZAI BODY PROJECTの一環として始まり、2022年9月に製造が完了しました。「Jizai Arms」は、2022年11月に東京で開催されたJIZAI Collectionのダンスパフォーマンスで初めて使用され、披露されました。

「Jizai Arms」は、体の部分を贈る、アームを交換するなど、デジタルサイボーグ社会におけるデジタルサイボーグ間の可能な社会的インタラクションを探求するためのプロトタイプです。既存の人間拡張研究では、ウェアラブルロボットを使用することで起こる興味深い身体性の変化が報告されています。我々は、個々のウェアラーだけでなく、複数のデジタルサイボーグ間で起こる身体的な経験にも焦点を当て、そのような経験を現実のものにするためのプロトタイプとして「Jizai Arms」を作り上げました。

「Jizai Arms」は、2023年のA' Cybernetics, Prosthesis and Implant Design Awardでゴールデン賞を受賞しました。この賞は、デザイナーの才能と知恵を反映した素晴らしい、優れた、トレンドセッティングな創造物に授与されます。これらの製品やアイデアは、芸術、科学、デザイン、技術を推進し、その優れた特性により世界に大きな影響を与えます。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Team JIZAI ARMS
画像クレジット: Team JIZAI ARMS
プロジェクトチームのメンバー: Design & Production: Nahoko Yamamura, Daisuke Uriu, Mitsuru Muramatsu, Yusuke Kamiyama, Shin Sakamoto, Shunji Yamanaka Research Director: Masahiko Inami
プロジェクト名: Jizai Arms
プロジェクトのクライアント: Team JIZAI ARMS


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