空と生活を繋ぐ家「シェード」

藤中聡の創造性が光る住空間

周囲に家が密集する難しい環境の中で、空との一体感を生み出す住宅「シェード」が誕生しました。藤中聡によるこのプロジェクトは、日常生活に自然環境を取り入れ、住む人々の心に豊かさをもたらすことを目指しています。

「シェード」は、近隣の家々に囲まれながらも、敷地が前面道路より1.5メートル高い位置にあることから、風と空を感じることができる特別な場所です。この自然環境を生活の一部として感じられるよう、独自の設計が施されました。

隣地からの圧迫を避けるため、敷地の隣接側に大きな壁を設けて視線を遮り、壁を折り曲げて屋根を形成しました。ダイニングはエントランスから1メートル下がった位置にあり、天井の高さと明るさを最小限に抑えています。一方、ダイニングから一メートル上がったリビングは、高い天井と大きな開口部を持ち、二つの屋根の間の空を自然と眺めることができるようになっています。

敷地の高低差を活かし、建物の一部を地下 FL-1.0m に設け、その部分と基礎にはRC造を採用し、上部構造には伝統的な日本の木造建築方法を用いました。地下に一階部分を埋めることで、全体の高さを抑え、高さ制限に対応するとともに、左右の屋根の高さを近づけ、空がより見えやすくなるデザインとなっています。

構造体系は木造で、日本の伝統的な建築方法を用いた910mm x 910mmの柱と梁のピッチグリッドで建築されました。これにより、構造計画が容易に理解できるだけでなく、コストと施工管理も容易になりました。

この家は、日本特有の密集した住宅地の一角に位置しています。周囲との共存と自然環境の近さをどう実現するかが設計の課題でした。また、近年の気候変動による環境負荷を減らしつつ、建物自体の快適性能を向上させることも目指しています。

プロジェクトの設計は2018年4月に岩国で開始され、2019年12月に完成しました。限られた敷地内で自然環境を最大限に活かし、要求された空間を確保する方法と、豊富ではない予算内での総コスト管理と各材料のコスト管理に関する研究が行われました。

限られた床面積と予算の中で家族が必要とする空間を提供しながら、太陽光の位置を計算し、熱負荷をコントロールするために窓の位置を調整しました。北側に大きな窓を設けることで、空の広大な視覚的景観を提供しています。コストコントロールは、デザインを維持しながら低コストの材料を研究し、建物の一部を自己建築するクライアントによって計画されました。

自然が創り出す、常に変化し、儚くも強烈な美しさに心を開くこと。そこで、隣家からの圧力を遮るために大きな壁を建て、壁を曲げて屋根を形成し、その下に生活空間を作り出しました。前面道路から内部に至る一連の流れは、自然とのつながりを感じさせ、ダイニングとリビングの質量と明るさを調整することで、空間の収縮と拡張が自然に視線を二つの屋根の間の空に向けさせます。

写真:増永賢治

このデザインは、2024年にA'アーキテクチャ、ビルディングアンドストラクチャーデザインアワードでブロンズを受賞しました。ブロンズA'デザインアワードは、経験と創造性を証明する卓越したデザインに授与されます。芸術、科学、デザイン、技術のベストプラクティスを組み込んでおり、強力な技術的および創造的スキルを示し、生活の質の向上に貢献し、世界をより良い場所にしています。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: SATOSHI FUJINAKA
画像クレジット: Photo:Kenji Masunaga
プロジェクトチームのメンバー: SATOSHI FUJINAKA
プロジェクト名: Shade
プロジェクトのクライアント: Satoshi Fujinaka


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